NEW
若き才能、創造の3日間――CG応用Ⅰ
夏。
外に一歩出れば、猛暑という名の汗び暑び暑(あせびしょびしょ)
脳内には夏の歌謡SONGでも流れ始めそうな季節です。
しかし――
わが緑誠蘭高等学校でCGを学ぶ若きクリエイターたちは、少し違います。
彼らの脳内に広がるのは、夏メロではありません。
色。
線。
キャラクター。
構図。
そして、まだこの世に存在していないイラストレーションの世界。
灼熱の現実世界とは裏腹に、頭の中では無数の創造宇宙が静かに、しかし猛烈な勢いで膨張していました。
そんな中、知立校では3日間にわたる「CG応用Ⅰ・集中スクーリング」を実施しました。
今回のテーマは、ただPC画面の中に絵を描いて終わりではありません。
描いたものを、現実世界へ召喚する。
缶バッジ。
アクリルスタンド。
そして、当初の予定にはなかったラミネートカード。
モニターの中の電子世界に存在していた色と線が、次々と“物”へと姿を変えていきます。
まずは制作。
CLIP STUDIO PAINTを使い、生徒たちは黙々とペンを走らせます。
写真をもとに描く者。
自分のキャラクターを生み出す者。
色や形を何度も調整する者。
教室のあちこちで、数分前までこの世に存在していなかったものが、次々と姿を現していきます。
正直なところ、こちらはもう少し時間がかかると予想していました。
ところが・・・
速い!
アイデアが湧き出る速度も、ペンの運びも、とにかく速い。
こちらが「次はここまで進められれば十分かな」と考えている間に、別の机では新しいキャラクターが誕生し、さらにその隣ではもう色が塗られています。
若い才能というものは、ときどき教師の授業計画を平然と追い越していきます。
3日間、集中して制作に向き合った生徒たち。
その熱意は想像以上でした。
人間の頭の中には、小さな宇宙でも入っているのでしょうか。
一人ひとりの中にある世界はまったく違う。
それなのに、ペン先から出てきた瞬間、私たちもその宇宙を少しだけ見ることができます。
まさに無料美術館!
これこそ、創作の面白さです。
そして完成したデザインを、いよいよ缶バッジへ。
内藤せんせいも授業のお手伝いに参戦してくださいました。
黄金の缶バッジマシンを背に、机いっぱいに並んだ作品を前にすると――なぜでしょう。
その姿はもはや教師というより、創作グッズを一手に取り仕切る“伝説の露店商”。
妙に貫禄があります。
今回使用した缶バッジマシン。
そのボディは――
黄金。
美しい。
なぜ人類は、特別なものを金色にしたがるのでしょう。
王冠。
財宝。
勲章。
王座。
ゴールド。
最も高貴で、誇り高く、どこか圧倒的に高級。
もはやこれは、ただの缶バッジマシンではありません。
若きクリエイターたちの作品に、金色の魂を吹き込む装置なのです。
作品をセット。
レバーを倒して――
ガコン。
もう一度――
ガコン。
そして現れる、自分だけの缶バッジ。
ほんの少し前まで画面の中にしか存在しなかった作品が、突然、手のひらに乗ります。
この瞬間は、何度見ても面白い。
生徒たちが制作した缶バッジは、そのまま持ち帰ってもらいました。
自分で考え、
自分で描き、
自分で加工し、
最後には自分の手元に残る。
デジタル作品が現実世界へ降り立つ瞬間です。
そして今回、アクリルスタンドも制作しました。
その中に、一体だけ妙な存在が紛れ込んでいます。
「教壇のTMレボリューション」
モデルは――担当教員。
つまり私(坂倉せんせい)です。
なぜこんな名前になったのか。
答えは極めて単純。
暑がりだから。
授業中、教壇で扇風機の風を全身に浴びながら授業をしていたところ、いつしかそんな通り名がつきました。
アクリルスタンドは、今回制作したデータをもとに、後日正式なグッズとして完成する予定です。
今はまだデータ。
しかし、やがて透明なアクリルの中にその姿を宿し、現実世界へ帰還します。
さらに今回は、生徒たちの制作スピードが想像以上だったため、予定していた工程を早く終えることができました。
そこで急きょ挑戦したのが、ラミネートカード制作です。
イラストを印刷してラミネート。
それだけでも立派なカードになります。
さらに形に沿ってカッティングすれば、そのまま本のしおりにもできます。
マグネットを貼る。
穴を開けてひもを通す。
ほんの少し加工方法を変えるだけで、同じイラストが別のグッズへと姿を変えていきます。
「描く」から「作る」へ
CGは、画面の中だけで完結する世界ではありません。
デザインしたものが現実の生活の中へ出ていく。
そこまで含めて、ものづくりです。
頭の中にしかなかったものが、
線になり、
色になり、
データになり、
そして最後には“物”になる。
考えてみれば、創作とは不思議な営みです。
最初は何もありません。
白い画面だけ。
そこへ一本の線を引く。
もう一本。
さらに一本。
やがて形が生まれ、世界が生まれ、ついには現実の中にまで飛び出してくる。
まさに価値のないものから価値を生み出す行為なのです。
3日間のCG応用Ⅰ。
教室の中では、そんな小さな創造宇宙がいくつも誕生していました。
完成したアクリルスタンドたちが、現実世界へ姿を現す日を楽しみに待ちたいと思います。
